外山滋比古 飛鳥新社 1,260円
絶対語感というのは著者が定義した新しいことばです。音楽を勉強するときに音について「絶対音感」の訓練がありますが、ことばについて「絶対語感」があるということはあまり知られていません。しかし大切な感覚で、お母さんのことばを手本にしてつくられます。子育てで一番大切なことは、幼い子にことばを教えることであり、お母さんはことばの先生です。それをはっきりと自覚しているお母さんは、昔からきわめて少ないのではないでしょうか。日本人に生まれれば日本語は勝手に覚えていくものだという誤った考えもここからでてきています。
母乳語、離乳語、2つの言語を通じてきちんとした母国語を母から子どもに伝えること。そしてきちんとした母国語を伝えるためには、少しでもよいことばをお母さん自身が身につけておくべきことを言語学者としての観点からわかりやすく論じています。
「目のことば」が重視されるあまり、日本人は欧米人などと比べると「耳のことば」を軽視することにより話を「聴く」ことが下手です。それは子どもの頃の聴くしつけがしっかりなされていないことに原因があるようです。最近の幼児教育による「目のことば」優先の風潮はこれを助長しているように思われます。読書くらぶでは、小学1年生より小さいお子さんにはお母さんが愛情のこもった声で「読み聞かせ」をしていただくようにお願いしています。それは「耳のことば」を大切にしていただきたいとの思いからです。「目のことば」を決していそいではいけません。「聴く」ことがおろそかになるからです。
またアルファ読みとベータ読みのちがいにもふれられており、最近注目をあびている「声に出して読みたい日本語」の著者 斉藤 孝氏が提唱しているベータ読みの考えと一致しています。
終章 <絶対語感で伝える親のこころ> では、最近の日本人の使うことばの乱れに対する苦言。そして最後に「母のことばから生まれた絶対語感が、こどものこころを生む母である」としめくくっています。
「絶対語感」に役立つ、334の基本語ものせられており、小さいお子さんを持つお母さんに子育てのヒントを与えてくれるおすすめの一冊です。 |