| お遍路 |
◇ツールド空海
10年前くらいであろうか「ツールド空海」というツアーのドキュメントをテレビで見た。ツールドフランスは険しい山岳を走る自転車レースで有名であるがこの「ツールド空海」はレースではなく四国八十八ヶ所の霊場を自転車で巡るお遍路ツアーであった。参加者は年齢・職業もまちまちで、人生をもう一度見つめ直したい。人生をやり直したい。立ち直りたい。とそれぞれの思いを持ちよって参加していた。「いつか私もこのツアーに参加したい」と思ったが、休みが思うように取れないなどの理由からいつしか忘れてしまっていた。ところが私の知人が毎月バスツアーでお遍路に出かけているとたまたま聞いたことがきっかけとなって潜在意識の中で長い間眠っていた「ツールド空海」の記憶がよみがえってきた。
◇お遍路へ
塾の盆休みに四国へ行くことを決めたのは夏休みに入る前であった。トライアスロンで長距離のライドになれていたので一人でも巡れる自信があった。三宮の神戸港からフェリーに乗り、高松へ渡り、徳島の種まき大師さんの東林院を皮切りに1番札所霊山寺から順番どおりに高知の31番札所竹林寺まで540キロの道程であった。帰路は高知港から大阪南港までフェリーに乗った。
1日に100キロ走行を目標にして泊まれる所に泊まるといった場当たり的ではあったがすべて何とかなった。大江健三郎的に言えば、「見る前に飛べ!」である。また四国で見たこと聞いたことを自分の感性でとらえたいという思いからお遍路についての知識は最小限にとどめた。一部の寺を除いてほとんどの寺の坂道を登りきれたのはトライアスロンの経験が生かされた。やはり経験は有弁である。
◇さらなるお遍路へのおもい
ところで先に書いた「ツールド空海」であるが色んな思いの人がいたが私の場合はこうである。1つは母親も八十八ヶ所を巡り満願成就しているが、その歩いた道を追体験したいという思い。私のゆかりの者を追悼しながら霊所を巡る修行僧となること。この2つであった。そして各寺々でゆかりのものをしのびつつすがすがしく般若心経を唱えた。5日間、事故にもあわず無事過ごせたことを感謝している。
来年再来年と三年がかりになるが八十八ヶ所全霊場を巡りたいと思っている。また、いつか時間を気にせず「歩いて」四国を巡りたいと思いが、この5日間でさらに強くなってきた。
(くらじゅく通信 2004年9・10月号より)
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