| お遍路日誌(その2) |
平成17年8月12日
◆高知に到着
朝7時半ごろ高知に着く。大きな近代的な駅を想像していたがそこらのローカルの駅と大差がない。どうしてか自分でも分からないのだが、なんとなくがっかりしながら改札を出る。改札の数十メートル先はバスターミナルで、柵のあるところで自転車のサイドバックのとりつけや、バイクウェアに着替えるなどしていると結構時間がかかってしまった。輪行バック等要らないものを宅急便で送ることにした。駅には宅急便を扱っているところがなかった。でも駅前には郵便局があるだろうからそれを探すことにした。どういうわけか、あっけなく見つかった。17日付到着便で送る。
◆懐かしい高知
8時30分頃郵便局を出て竹林寺に向け出発。前回のお遍路では第31番札所竹林寺(ちくりんじ)が最後のお寺だった。またそこからお遍路を続けるのが作法と聞いていたことと、もう一度ゆっくりと境内を見てまわりたい気持ちが強く、今回2度目の訪問を楽しみにしていた。前回は見ずに通り過ぎただけのはりまや橋を経由して高知市街を走る。一度来たことがあるという意識があるからか、不思議と懐かしい気持ちになった。竹林寺は山寺で前回も苦労して登ったが今回もきつかった。ただ今回はサイドバックをつけてきたので肩への負担がなくずいぶんと楽であった。
◆サイドバックをつけて大正解!
前回、リュックにこだわったのには理由があった。「妻の形見を背負っていきたい」という理由であった。しかしリュックが肩に食い込む、重心が高くなって自転車に乗るのが不安定になる。特に坂道が大変だった。特に今回は2月にスキーで肩の靭帯を痛めて、まだまだ元に戻っていないこともあって、サイドバックを取り付けることは必須であった。(Kごめんね。でも写真は持ってきているからね。)バックはトライアスロンのレースの前や日頃のメインテナンスをしてもらっている森さんのところで取り付けてもらった。これが大正解であることが、竹林寺の登りで早くも感じられた。肩の方は6月頃から落ちた筋肉を元に戻すトレーニングを始め、自転車も昨年より遠出する回数を増した。
◆古刹竹林寺を楽しむ
竹林寺は前回のあまりゆっくりとすることができなかったが、今回は一番最初のお寺ということもあって少し楽しむことにした。室町時代の禅僧、夢窓国師の手による庭園。宝物館に安置されている国宝の仏像を見る。貞観時代から鎌倉時代までの仏像があり藤原時代のものが特に多かった。五台山は中国に実在する山で聖武天皇の勅願により行基が五つの峰からなる山容五台山に似ているというところからこの地に寺を建立したとされる古刹である。
また文殊菩薩を本尊とするのは四国礼状八十八ヶ所ではこの寺だけである。教育にたずさわる人間ゆえひかれるところがあるのかもしれない。前回買った五臓のお守りを今回も購入した。これでお土産に悩む煩悩からのがれられる。お守りを売っておられる方、納経のお坊様も実に気持ちよく接してくださる。寺の雰囲気は寺そのものよりもそこにたずさわる人たちによって作られるといっても過言ではない。五台山を前回とは違った道を下る。眼下に高知平野の緑が美しい。
◆浦戸大橋をこわごわ渡る
次に向かったのはやはり山寺である禅師峰寺(ぜんじぶじ)で約8キロ先だ。のんびりとした田園地帯を走る。このお寺はお地蔵様が数多く祀られてあり山頂からは桂浜が望める。その男性的な景観をしばし満喫した。次の雪渓寺(せっけいじ)に向かう途中で食事をする。かつおのタタキを頼むが絶品であった。そこの店員さんに浦戸大橋を渡らず渡し船に乗るのが楽ですよとアドバイスしてくれた。その楽ということばに少し抵抗感を感じ(このへんこつおやじ!)浦戸大橋を渡ることにする。
橋に近づくにつれその大きさとかなり高いところに架かった橋であることがわかる。高所恐怖症である私には左眼下に海を眺めながらの走行はかなりの苦痛であった。店員さんの楽ということばの意味があらためてわかった。雪渓寺、種間寺(たねまじ)とも平地にあるお寺で比較的楽に走れた。
◆子育て観音様
種間寺は大師が唐から持ち帰った五穀の種(米・麦・粟・キビ・豆)をここに蒔いたという伝説の古刹であり、昔ながらの田園地帯に位置している。子育て観音様が祀ってあり、「安産のお薬師さん」とも呼ばれている。『子育て』ということばに心ひかれて、山門しか写真を撮ることがなかったのだが珍しく写真を撮った。子供を左手に抱えた穏やかな観音様の表情が印象的であった。
56号線を南下仁淀川(によどがわ)が干がっている。流れているのは小川みたいな細い川で川原ばかりが目立つ。四国に雨が降らず水に困っていると後で知ったのであるが、かなりの川幅を持つ川が干上がっているのは無理からぬことだったのかもしれない。四国に来て5日間で雨にあったのは1回だけで、しかも一時間ちょっとの雨だった。人間は自然に対しては無力だとつくづく感じる。
◆無理をせず
56号線と土佐インターとが合流するあたりから清滝寺(きよたきじ)までは約1キロ程ある八丁坂という曲がりくねった急坂を登る。清滝寺の納経のお坊さんから岩本寺に行くのに、七子峠までずっと登りで大変だということを聞く。帰りの坂で折りたたみ自転車に乗った40歳前後の男性にあった。『きつい』という。マウンテンバイクでもしんどいのに折りたたみ自転車では無理からぬことと思った。次の青龍寺(しょうりゅうじ)までは約13キロ。5時ぎりぎりにし到着。先に納経をしていただく。
ここから岩本寺(いわもとじ)までは約60キロ。少なくとも3〜4時間はかかることを考え無理をせず、青龍寺の近くにとまることに決める。先は長い。納経の女性に宿を紹介してもらう。5キロ先にその宿があるらしい。予約を入れ、先程渡った宇佐大橋をまた戻って汐浜荘という民宿へ向かう。
◆お遍路一日目は疲れる?
汐浜荘には5時間30分頃到着。老夫婦お二人で切り盛りしている民宿であった。私の他に歩きお遍路さんが一人先着していた。自転車のカギをつぶしていた。朝、郵便局をスタートした時にロープチェーンをつけたまま走って切ってしまったのであった。幸い車輪のスポークは無傷であった。おかみにカギがないけど大丈夫かなと心配すると「誰もそんなもんとりゃせよ」と一言。「そうだよね。ここは都会じゃないんだ。」と納得させる自信にみちた一言であった。
着いてすぐ風呂に入る。汗ばんだ身体を癒してくれるのが風呂で、明日への活力を満たしてくれるのがビールだ。「洗濯物を出してください」と言われてびっくり。去年は自分で洗って手しぼりをするが、脱水があまりできていないので洗濯物が乾かず朝ぬれたまま着たことを思い出した。室内には洗濯物が干せるようにちゃんとハンガーがしつらえてある。これはいい。ありがたい。6時半頃食事。私と同じくらいの年と思われる歩きお遍路さんとご一緒する。ビールがうまい。
食後キャリングバックの整理をして午後8時には床に就き、朝までぐっすり眠った。初日はやはり疲れる。
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