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塾長のコラム

お遍路日誌 その3 平成18年

お遍路日誌(その3)
平成18年8月15日

◇道路標識で分かりやすい香川県
朝6時前に起床。すぐに朝食をとり、6時30分出発。すぐ近くの67番札所大興寺には10分位で到着。すでに駐車場に、自転車お遍路の男性が一人。私の自転車を見て「やはり、これ位の大きさの自転車でないといけないですね。」としきりに話しかけてくる。私と同年齢と思われるその男性は折りたたみ自転車に乗ってきていた。やはり折りたたみ自転車では大変だろう。昨日は思わぬ道草で3寺しか巡拝できなかったので、今日はその分を挽回したいという想いがあったので、先を急ぐ。88番大窪寺まであと3日間で20寺まわらないといけない。観音寺市に入ってからお寺への道路標識がほぼ2キロごとに出てくるので非常に走りやすい。今まで地図を頼りに走ってきたが、自分の進んでいる方向が間違っていないかを確認できるので安心できる。本当にありがたかった。

財田川を渡ってすぐのところに68番札所神恵院、69番札所観音寺がある。八十八カ所でも珍しく同じ境内に2つのお寺が建つ「一山二霊場」である。納経所は1ヶ所で神恵院と観音寺と別々に納経してもらい納経料は二寺分払った。次の本山寺は財田川を渡り5号線を進むのだが、財田川沿いにある遊歩道を走ることにする。川の左手前方に五重塔が見える。目標とする建物が見えるのは本当にありがたい。再度財田川を渡るとすぐに70番札所本山寺があった。この寺の境内は非常に広く、ちょうど工事中であちこちに木材が所狭しと、置かれてあった。納経所で、お寺の案内標識の話をすると、3年前に観光バスのために整備されたとのこと。私達サイクリストにとっては心強い味方である。おりしも、何の木か不案内であるが濃いピンクの花をつけていて美しかった。お寺そのものがモノトーンなので、花があざやかに見える。

◇先を急ぐ
本山寺を9時すぎに出発。71番札所弥谷寺に向かう。11号線を北上し、鳥坂峠の手前を左折し48号線へ。2キロの坂道をのぼる。その山門は不必要なものはほとんどなく、お寺の風説を感じさせる。500段以上の石段があり、途中左手の山肌に阿弥陀三尊像が刻まれている。岩が風化して、その形が崩れかけている。昨年巡拝した岩尾寺のことが思い浮かべられた。48号線にもどって再度11号線を走る。今日もカンカン照りで暑い。11時45分『峠の我が家』というごはん屋さんで食事をし、次のお寺の下調べをする。72番札所曼荼羅寺、73番札所出釈迦寺、74番札所甲山寺はかたまって建っている。あまり坂道もなく楽にまわれた。曼荼羅寺で自転車お遍路の青年古沢(こさわ)さんと出会う。この青年とは長尾寺の前の『ながお路』という遍路宿でまた会うことになる。

◇さすがの善通寺
48号線を東へ甲山寺から1.5キロのところにある75番札所善通寺に向かう。2時50分頃到着。大きな駐車場から石橋を渡って善通寺へ。とにかく広い。また人も多い。四国霊場札所の中で一番大きいのではないか。本堂には薬師如来が祭られている。薬師如来の周りが回廊のようになっていて1周して入口に戻ってくるようになっている。奈良の薬師寺の雰囲気に似ている。中には売店もあり、そこで善通寺創建1200年祭記念の腕輪守を購入する。現金の持ち合わせが少なく10本しか買えなった。納経所では男女2人がてきぱきと納経をこなしていた。

今まで、75のお寺を回ってきて気づいたことに一部の寺の品格の悪さがあった。テレビがつけられ昼のメロドラマが流れている。居眠りをしていて、声をかけると驚いたように気づく。納経が終わったら戸をぴしゃりと閉める。ケータイのメールを一心に見ている女性。数え上げるときりがない。お寺の建物がいくら良くても、歴史があってもそれに携わる人によってお寺の品格が下がる。人さまざまの思いを持って八十八ヶ所を巡っているのだが、少なくとも遊び半分で巡っている人はいないであろう。覚悟を持って真剣にお遍路をしている。その真摯な思いを受け止め真摯な態度で接待してほしいと望むのは間違っているのだろうか。善通寺の納経所にはテレビもなく本当に気持ちよく納経していただいた。さすがである。このお寺は半日や一日かけてもじっくりと過ごしたいお寺の一つだ。

◇郷照寺で再会
76番札所金倉寺は善通寺インターの近くにあるお寺である。善通寺から4.5キロのところにある。この寺の本堂に所願成就の巨大な「願供養数珠」がおもしろい。ワイヤーに通した大きな数珠を引くと数珠が回り、うえに上がった数珠が落下する。その時、下方にある数珠に当たって音がはじける。「パチ、パチ」と言う音がなんとも小気味よい。

77番札所道隆寺までは4.5キロ。11号線から319号線を経由して25号線に入る。寺は国道沿いに建っていた。道隆寺を出発して丸亀市に入る25号線は33号線に合流し、6.8キロ先の78番札所郷照寺に向かう。郷照寺の山門に自転車を止めていると、横峰寺で「横峰寺の住職は時間に厳しいからなあ。」と私にアドバイスしてくれた親子づれに再会した。車を止めて「よう、がんばらはるな。」と声をかけてもらった。お遍路では何人かの人と再会することが良くある。なぜか懐かしい気持ちになってうれしくなってくる。会おうと思って会うわけでなく本当にご縁があって会っている。

郷照寺に到着したのが4時45分だったので、先に納経をすませ本堂大師堂におまいりする。金色の観音像の足元にある階段を下りると「万躰観音洞(まんたいかんのうどう)」があり、おびただしい小さな観音像が祀られている。水子供養のための観音像らしい。京都の鞍馬寺の本堂の下に、遺髪を骨壷に入れ祀っている地下洞と雰囲気が似ている。夏にもかかわらず冷気を感じるだけでなく、一種異様な霊気までも感じた。病気平癒の護符「名号千枚通し」を購入する。その購入方法は、本堂の軒下の板間に「千枚通し」の袋が並べてあり、木箱の中に代金を入れるというやり方であった。よく田舎で野菜が置いてあって、それを買うと竹筒の中にお金を入れるセルフ販売所があるが、1000円もする「千枚通し」がこのような方法で売られているのに少し驚いた。もちろん私は1000円入れたのだが、人間性善説を地でくようなお寺のやり方に好感を持った。この郷照寺で、お賽銭用の小銭ゼロ、納め札もゼロ、線香もなくなってしまった。

遍路地図に出ている瀬戸内荘に今日の予約電話を入れるがあいにく満室で坂出プラザホテルを紹介してもらう。ホテルは33号線を北上し、坂出北インターの近くにあった。5時30分プラザホテル到着。すぐに20階にある大浴場に入る。眼下には坂出港がみえ、瀬戸大橋が瀬戸内海をまたいでいる。またホテル周辺は企業の建物が林立している。夕食はビジネスホテルにしては豪華版で2食付5,800円は安い。朝の食事を聞くと7時からということであったので、フロントの人におにぎりを作ってもらうようたのむ。幸いにも6時に食事を用意してもらえることになった。フロントの人が厨房のスタッフに頼んでくれたらしい。本当にありがたいことである。朝食もとてもおいしかった。


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