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学力世界一フィンランドの秘密

学力世界一フィンランドの秘密

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下記の内容は最近読んだ本『なぜフィンランドの子どもたちは「学力」が高いか』(教育科学研究会編 国土社)をわたしなりにまとめたものです。
書き足りないことが多々ありますが、子育ての参考にして下さい。また、興味のある方は是非一読をおすすめします。

             

国際学力比較調査(PISA)

2004年の暮れに、経済協力開発機構(OECD)は、第2回目(2003年)の『国際学力比較調査』(PISA)を発表しました。日本は、「読解リテラシー」が8位から14位に、「数学リテラシー」が1位から6位に低下し、新聞各紙は日本の学力が世界のトップから転落したと報じました。

あわてた中山文部科学相は「授業時間数を増やす」「競争を強化する」とのべ、学習指導要領の見直しを表明しました。また2000年調査のときから、記述式の回答を要求される問題で、日本の子どもたちの無回答が多いことが問題になっています。子どもたちが考えることを放棄しているからです。

学力世界一に輝いたフィンランドはどうか。「数学リテラシー」は2位、「読解リテラシー」と「科学リテラシー」は1位、「問題解決能力」は3位、総合して1位という結果でした。

PISAの目的

PISAが測定しょうとしている数学リテラシーや科学的リテラシーは、国際教育到達度評価学会(IEA)の理科や数学とは異なっています。すなわちPISAが測ろうとしている能力は、教科の枠を横断しての能力すなわち問題解決、批判的思考、コミュニケーション能力、自信といった能力です。

さまざまな困難を抱えている現代社会で、それらを解決するのにふさわしい知識や技能や態度を教育のなかでどうやって身につけさせていくのか、真剣に考えなければならない時代になってきた。

そういう背景のなかで、非常によく準備されて実施されたのがPISAです。『リテラシー』と言う言葉は耳慣れないことばですが、読み書きの能力・転じて、ある分野に関する知識という意味で使われているようです。

学力世界一の学力の背景はなにか

さて、フィンランドの『学力世界一』の優秀性は次の三点に代表されています。

第一は「学力水準(平均点)」の高さである。第二は「学力格差」の少なさである。生徒間の「学力格差」が少ないだけでなく、学校間の格差も地域間の格差も少ないという特徴を示している。第三は社会経済的背景の影響における教育の優秀さである。

このフィンランドの子ども達の『学力』を高めているその背景は何か。高福祉・高負担を支える公共の精神を育む教育を中心におき、『教育こそが国家の貴重な資産』とみなして大事にしてきたことが真っ先に挙げられる。

教員の社会的地位、信頼の高さは、教職をもっとも優秀な人がつく職業にし、教員組合の力も大きい。すべての教師を大学院で養成し修士号取得を要請している国は、ヨーロッパのなかでもフィンランドのみである。

また2004年のOECDの統計では、公財政支出教育費のGDP比は、フィンランド5.51%であるのに対して、日本は3.50%で加盟国中最低となっている。そしてフィンランドでは教育は無償が原則で、外国の留学生ですら無償となっている。
 
PISA調査において、フィンランドにおける親子のコミュニケーションの時間はどの国よりも長く、家庭の時間の多くはテレビと読書にあてられる。

テレビは国外の放送のチャンネルが多く字幕スーパーなので、子どもは親の説明を聞きながら視聴している。フィンランドの母国語はフィンランド語とスウェーデン語の二つであり、小学校と中学校で第一外国語として英語が学習され、高校になると第二外国語としてドイツ語かフランス語かスペイン語が学ばれる。

したがって、高校を卒業すると、四つの言語を学んだことになる。外国語に親しむ機会が学校内外で多いことが、フィンランド人の外国語に強い要因になっているようである。

読書と学力

家庭における読書時間の長いのもフィンランドの特徴の一つで読書への関心と読書量は世界一である。『読書を趣味』とする生徒の割合は世界で最も高く、生徒の41%が『読書を趣味』と考えていた。

大人の読書習慣も世界でトップレベルである。フィンランドでは図書館制度が充実しており、国民1人当たり年間21冊の本が貸し出されている。図書館とその分室の多さは、コンビニより多いそうである。驚きである。

このフィンランドの子どもたち、とくに女子生徒たちが、読解力を軸に高い成績をあげているが、その直接の要因として読書量があげられる。先に書いた『読書を趣味』と考えている生徒の男女による内訳をみると女子は60%、男子は21%という大きな格差があり、子どもの男女における読解力の格差の大きさと符合している。

この女子の読書や勉強にたいする積極的な姿勢をもたらす要因として、フィンランドの女性の大多数が経済的に自立して生きることを当然視しているという背景がある。

フィンランドの教育に対する考え方

フィンランドでは1994年に大きな教育課程の改革が行われたが、その目的は、『教えることから学ぶことへ』という言葉で示されているように、社会と労働生活の変化に対応して、生徒の必要に役立つように学校を発展させることにあった。

若い学習者が将来に必要とするのは、『学習のためのスキル』であり、学校は子どもたちが学習のためのスキルと情報を獲得する学習センターにならなくてはならないと考えられている。

そして、フィンランドをはじめ北欧各国とも国語教科書のなかに『公民教育、自然の教育、いのちを大事にすること』が取り上げられていて、一言で言うと『生きる力』を育てることが貫かれている。

やはり読書ありき

国語の教科書にこのような人としての根幹に係わる事柄が取り上げられていることに、わたしは非常に興味をひかれた。と同時に小手先だけでころころと変わる日本の教育の行く末に、明るい展望を見いだせないと考えるのはわたしだけではないだろう。

私塾を主宰するものととして、23年の経験を総括しながら、日本の子どもたちの教育に微力ながらつくしていきたいと考えている。

また読書がもたらす高い学力は、今に始まったことではなく、日本でも高学力児はおしなべて『読書好き』であった。

フィンランドの『学力世界一』はあらためて読書することの意義を再確認することとなった。また、苦楽園学習塾・読書くらぶの向かおうとしている方向が、教育の目的を『教えることから学ぶことへ』と規定したフィンランドの方向と図らずも同じであったのは心強いことであった。

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